牛を屠る📖

先日、『牛を屠る』と言うルポルタージュを読みました。

北海道大学を卒業し、一旦は出版社に勤務したもののすぐに退社しハローワークで偶然食肉加工会社に就職した著者のお話です。

業務内容は、牛や豚の解体で所謂屠殺と言うやつです。

初めて会社を訪れた際に先輩社員から、「ここはお前みたいな奴の来る所じゃねぇ!!」と怒鳴られ全てが始まります。

肉体労働で血まみれになりながら、一生懸命汗を流し職人として一人前になる事を目標に努力の日々を過ごします。

その結果、ナイフが青龍刀のように使いこなせる様になり周りの職人にも認められるようになります。

作業が終われば早く帰れる為、「とっと終わらせてさっさと帰る」為に一致団結して作業に取り掛かる様子が生々しく描かれる一方で、仕事の楽しさや悦びについても描かれています。

私は、そう言った楽しさや悦びについての描写がとても好きでした。

「懸命に仕事に打ち込む」これは、何よりも楽しく幸せな時間と言えるのではないでしょうか?

(なんせ一日の大半が仕事な訳ですからね。まぁ別に仕事でなくとも、夢中になれるものがあると言うのは幸せな事だと思います)

私にとってそれは勿論テニスです。正確にはテニスレッスンです。

試行錯誤の日々ですが、毎日とても楽しく仕事に打ち込ませて頂いております。

さて、冒頭の怒鳴った先輩ですが結局上の方達と喧嘩して会社を辞めてしまいます。

これが、非常に残念でなりません。現場を仕切りまとめていたのに…。

そして、著者自身も食肉加工会社での日々を書いた小説が新人賞を取った事を機に会社を辞めてしまいます。

作家に専念する為です。

私なら、働きながら書くだろうなぁと余計な事を思ったりしました。

打ち込めるものは、そう簡単に見つかるものではありませんし、その様な環境(仲間など)はとても貴重だからです。

久しぶりの一気読みでした。

 

一気飲みはもうしないK